耳の聴こえない親から生まれた、耳の聴こえる子どもたち、コーダ(CODA:Children Of Deaf Adults)。家では手話で、外では声で話す彼らは、学校に行けば“障害者の子”扱い、ろうからは「耳が聞こえるから」と距離を置かれる。コーダという言葉が生まれたアメリカでコーダ・コミュニティを取材した初めての長編ドキュメンタリーとなる本作は、15歳というアイデンティティ形成期の多感な時期を過ごすコーダの子どもたちの3年間を追う。聞こえる世界にもろうの世界にも居場所のない彼らは、一年に一度の“CODAサマーキャンプ”の時だけ、ありのままの自分を解放し無邪気な子供に戻れる。
15歳。サマーキャンプは終わり、進路を決める大切な時期に入る。「私はろうになりたい」という深い欲望に突き動かされ、聴力に異変をきたすナイラ、自分を育ててくれたろうの母から離れて大学に行こうと葛藤するジェシカ、コーダである自分の人生を手話で物語ることで肯定し友達を作ろうとするMJ、さらに日本とアメリカを行き来し手話通訳士をするアシュリーが妊娠を機に「お腹の子がろうになるか聞こえる子になるか」という悩みを抱えながら出産に向かう――。
監督は“社会の周縁に生きる人々の知られざる物語”をテーマに映像作品を制作してきた松井至。本作は2016年TokyoDocsにて最優秀企画賞を受賞。その後取材を続け、2021年に北米最大のドキュメンタリー映画祭HotDocsに選出されるなど、現在世界各国で上映を行っている。音のない世界と聴こえる世界のあいだで居場所を失い、揺らぎながらも自らを語り、成長していく子どもたちの姿からコーダの知られざる物語を綴る。
1984年生まれ。「聴きとりづらい声を聴くこと」をモットーにドキュメンタリーを制作。当事者の横に立ち、共に変化しながら世界観をかたちづくる制作を行う。
コロナ禍の東京を映した『東京リトルネロ』で貧困ジャーナリスト賞・ギャラクシー賞(奨励賞)ATP賞(奨励賞)TOKYODOCS 優秀企画賞。
リトルネロフィルムズ合同会社代表。
コロナ禍をきっかけに、行動を促すメディア<ドキュミーム>を立ち上げる。
無名の人たちが知られざる物語を語る映像祭<ドキュメメント>を主催。
母国ニュージーランドで、短編映画を制作し、地元のテレビ局で働いた後、映画批評の学位を取得。
1996年から日本に移住し、ニュース、コマーシャル、ドキュメンタリーの制作に携わり、外国人のアイデンティティに関する特集などを制作。2013年以降、アメリカを拠点に活動。
2015年、日本の障害者プロレスを取材した長編映画『Doglegs』が国際的な配給契約と日本の劇場でのロングランを獲得。2020年、コロナ禍のアメリカで家族についてのオンライン・ドキュメンタリー「Family Strong」を制作。
母国オーストリアから2004年にロンドンに移住し、RCAで映画編集の修士号を取得。ドキュメンタリーにますます惹かれ、BBCの長編映画を多数編集。2014年に来日し東京を拠点に、NHKドキュメンタリーや国際共同製作、映画、ミュージックビデオの編集を行う。
2019年、Supermoon Picturesを共同設立し、以来アートに焦点を当てたドキュメンタリーを監督。
さや(歌、鍵盤)と植野隆司(ギター)の二人で、日本を拠点とし、海外でも活動を行う。
シンプルなアコースティックでの演奏を軸に、人や場所との出会いを反映した多様なポップソングへと昇華。1995年、レーベルmajikickを発足し、以後多くのミュージシャンのアルバムリリース、2020年、インディミュージックのストリーミングサイトminna kikeruを立ち上げ、運営にあたる。
中学、高校をイギリスで暮らす。2000年から定時番組/シリーズ番組の開発・制作に力を注ぐ。代表作:NHK BS2「熱中時間」、NHK BSP 「渡辺直美のナオミーツ」はギャラクシー奨励賞を受賞、NHK World 「A Treasured Creation」。2014年から積極的に国際共同製作や国際展開を始め国際プロデューサーとしての新たな道を切り開く。文革に参加した外国人の番組「Red Children」をドイツと台湾と共同制作し、世界各地で放送。Tokyo Docs の運営に関わり製作資金の確保をはじめ、海外での放送、配信、上映、販売のサポート、国際プロデューサー、ディレクターの育成に従事。国際エミー賞の審査員を務める。